花粉やハウスダスト、食べ物によるアレルギーで悩む人が増えるのと同じように、犬(ワンちゃん)にもアレルギーがあります。最近「かゆがる」「皮膚が赤い」「下痢や軟便が続く」といったサインが見られるなら、環境要因や食べ物(ドッグフード)が関係している可能性があります。本記事では、犬のアレルギーの主な原因と代表的な症状、そして食物アレルギー時の対処法、原材料表示の読み方やアレルギー対応フードの選び方まで、実践的に解説します。
目次
犬のアレルギー|主な原因とよくある症状
主な原因は「環境」と「食べ物」
- 環境要因:花粉、ハウスダスト、ダニ、カビ、シャンプーや洗剤など
- 食物要因:日常的に食べているドッグフードの原材料や添加物
よくある症状
- 皮膚:脱毛、かゆみ、赤い腫れ、耳のかゆみ、フケ、ベタつき
- 胃腸:下痢・軟便、嘔吐、ガス、食欲のむら
- 行動:頻繁な舐め・噛み、夜間の掻きむしり、落ち着きがない
原因は単独とは限らず、環境+食物の複合も珍しくありません。
まずは環境を整える:環境アレルギーの基礎対策
- シャンプー見直し:低刺激・無香料・保湿重視。すすぎを丁寧に。
- 住環境の清潔化:ベッド・マット洗濯、掃除機・拭き掃除の頻度UP。
- 散歩後ケア:足裏・腹部を拭き、花粉やホコリを室内に持ち込まない。
- 寝具素材:ムレや静電気が強い素材は避け、通気・吸湿性を重視。
これで改善が乏しい、または下痢など胃腸症状もある場合、食べ物を疑いましょう。
食べ物が原因のとき:避ける原材料と基本方針
人間と同様、犬の食物アレルギーは原因となる食材を避ける(除去する)ことでコントロール可能です。特に反応しやすい原材料は次のとおりです。
- 穀類(トウモロコシ・小麦粉など):消化酵素の関係から反応が出やすく、皮膚・消化器の不調と関連しがち。
- 肉類(牛肉・豚肉など):長く同種を与えてきた場合は要注意。別の動物たんぱくに置換を検討。
- 大豆:消化管・皮膚の不調につながることがある。
- 添加物(着色料・香料・保存料):かゆみや下痢の悪化因子になり得る。
ポイント:まずは穀類 → 肉類 → 大豆 → 添加物の順に疑い、除去・置換しながら観察します。
原材料表示の見方:ラベルの最初が“主成分”
原材料は含有量の多い順で記載。先頭がそのフードの主成分です。
- 避けたい例:穀類(コーン/小麦)が先頭、肉副産物/ミートミール/肉骨粉など曖昧・包括的表記。
- 望ましい例:具体的な動物名(チキン/サーモン/ラム)が先頭、副産物・ミール依存が過度でない、酸化防止はミックストコフェロール等の天然系。
格安フードで避けにくい理由とプレミアムの利点
低価格帯の多くは穀類主体+添加物の設計で、価格優先ゆえにアレルギー管理と相性が悪いことが少なくありません。一方、プレミアムフードには、限定原材料(LID)、グレインフリー、シングルプロテインなどのアレルギー対応が多数。原材料の透明性が高く、添加物を抑えた設計が主流です。
アレルギー対応フードの選び方チェックリスト
- グレインフリー:穀物不使用。代替はサツマイモ/エンドウ豆/タピオカ等。
- シングルプロテイン:たんぱく源を1種に限定(例:魚系へ置換)。
- 限定原材料(LID):材料数を絞り、アレルゲンの切り分けを容易に。
- 添加物配慮:合成着色料・香料・保存料を避け、酸化防止は天然系。
- 鮮度設計:小分け包装/アルミ多層袋/開封後は1か月以内に使い切れる容量。
- ライフステージ適合:パピー/アダルト/シニアで栄養設計が合うか。
切り替え手順:7〜10日で段階的に/観察ポイント
突然の切り替えは下痢や嘔吐を招きやすく、相性判断を誤ります。7〜10日で旧:新を8:2 → 6:4 → 4:6 → 2:8 → 0:10に。
毎日の観察(メモ推奨)
- 便:形・色・回数・におい(軟便/粘液/血便の有無)
- 皮膚・被毛:赤み、掻き壊し、フケ、毛艶
- 耳・足裏:赤み・湿疹、舐め壊し
- 体重・食欲・元気:急な増減や倦怠感
目安:皮膚の改善は数週間〜数か月。評価は最低8週間同レシピで。
よくある質問(Q&A)
Q1. どの食材が一番アレルギーを起こしやすい?
A. 傾向としては穀類(トウモロコシ・小麦)、次いで牛肉・豚肉、大豆。ただし個体差が大きいため、自分の子での反応を記録して探ることが重要です。
Q2. 添加物はすべて悪い?
A. 役割はありますが、合成保存料・着色料・香料は長期摂取で悪化因子になり得ます。天然系酸化防止や小分け設計で最小限に。
Q3. プレミアムフードなら何でもOK?
A. 名称だけで判断せず、主原料が具体的動物名で先頭、副産物・ミールの過度依存なし、添加物抑制、製造・原料の透明性をパッケージ裏で確認しましょう。
“アレルギー対応”製品を賢く選ぶコツ
- 「グレインフリー × シングルプロテイン × 限定原材料」の三拍子を優先。
- 未経験たんぱく源(魚/ラム/鹿 等)への置換で切り分けを明確に。
- 天然系酸化防止・小分け包装・開封後1か月で使い切れる容量を選ぶ。
まとめ:原因を見極め、原材料から整える
- 犬にも環境・食物アレルギーがあり、皮膚・胃腸に症状が出る。
- 環境対策で改善しない・胃腸症状があるなら食物アレルギーを疑う。
- 穀類(トウモロコシ・小麦)、次いで牛・豚・大豆、添加物に注意。
- 原材料先頭=主成分。穀類先頭/副産物・ミール中心は回避。
- グレインフリー/シングルプロテイン/限定原材料+添加物抑制のプレミアムが有力。
- 切替は7〜10日で段階的に。便・皮膚・耳・体重・食欲を記録し、最低8週間評価。
- 迷ったら原材料と症状の記録を持参し、獣医師へ相談。
※本記事は一般的な情報に基づくガイドです。個体差があります。急な悪化や長引く症状がある場合は、必ず獣医師にご相談ください。